第89回日本音楽コンクール「チェロ部門」で、
水野優也さんが第1位に!
10月27日に東京オペラシティで開催された第89回日本音楽コンクール(主催=毎日新聞社・NHK、特別協賛=三井物産、協賛=岩谷産業)のチェロ部門の本選会は、通常のオーケストラとの共演ではなく、ピアノ伴奏での協奏曲の本選会となりました。その中で第1位を射止めたのが、水野優也さん(関東地区河地正美先生クラス出身)でした。岩谷賞(聴衆賞)、黒柳賞、徳永賞も受賞され、さらにコンクール最終日には、全部門で最も印象に残る奏者に与えられる増沢賞も受賞しました!
→「エルガーの協奏曲に人生の陰影」を深く刻んだ水野優也さんの記事
→全部門を通じて最も印象的な奏者に贈られる増沢賞も受賞の記事
水野優也さんにインタビュー
・第1次予選から本選会までのすべての演奏曲を教えてください。
入賞者再応募のため第2次予選からの出場でしたので、
第2次予選では、
ブラームス:チェロとピアノのためのソナタ 第1番 ホ短調 作品38
本選会では
エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 作品85
を演奏しました。
・本選で演奏されたエルガーは、オーケストラ伴奏ではなくピアノ伴奏となったわけですが、どんな思いで演奏に臨まれたのでしょうか。そして、第83回コンクールで第3位の時と明らかに違う点があるとしたら、どんなことでしょうか。
前回は6年前に出場しましたが、前回との明らかな違いは「舞台の経験値」でした。あれだけ大きなホールで演奏するということは勿論大変な緊張感がありますし、本番前の過ごし方も難しいです。
しかし、この6年間演奏してきた中で、どうやったら自分の良い演奏ができるか、本番前のルーティンのようなものが次第に身についてきた気がします。それに伴って多少の気持ちの余裕も出てくるので自分を上手くコントロールできるようになり、 昔のように無我夢中になることはありませんでした。
・ブダペストでの留学生活を、思いもよらないコロナ禍の中で過ごされたのは大変なことだったろうと思います。どんな生活スタイルでしたか。
3月にブダペストに戻り、レッスンを1回受け終わったところで、すべてが閉ざされてしまいました。先生にも友だちにも会えない日々は辛かったですが、迫り来る予定に縛られない日々も意外に新鮮でした。私はポジティブに基礎練習をはじめ、エチュードを1冊練習したり、基本のバッハを練習したり…とにかく練習に打ち込んでいました。その他、料理も毎食作るようになりましたし、ドナウ川沿いでたくさんランニングもしました(笑)。1日1日を無駄にするまいと日々奮闘していました!
・今回の受賞に対して、倉田澄子先生やミクローシュ・ペレー二先生からはどんな言葉をいただきましたか。倉田先生と河地先生は、優也くんの演奏後にグータッチされたそうです。
倉田先生も河地先生もいつも演奏を聴いてくださり、本当に嬉しいです。もちろん、結果には大変喜んでいただき、「嬉しい!!」「今しかできない歌を精一杯歌いましたね」と仰っていただきました。ペレーニ先生は日本では連絡を取るのが非常に難しくて…このあと、すぐにハンガリーに戻りますので、ゆっくりご報告します!穏やかな先生です。
河地正美先生より
水野優也さんのプロフィール
1998年生まれ。東京都出身。6歳よりチェロを始める。第89回日本音楽コンクールチェロ部門第1位及び増沢賞、岩谷賞(聴衆賞)、黒栁賞、徳永賞。第13回東京音楽コンクール弦楽部門第1位及び聴衆賞。第23回コンセールマロニエ21弦楽器部門第1位。ソリストとして東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、読売日本交響楽団などと共演。国内各地でのソロリサイタルをはじめ、PMF2017、武生国際音楽祭、いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭、宮田大「大ism」、藤沢にゆかりのある音楽家たち、長谷川陽子・向山佳絵子プロデュース「チェロ・コレクション」、チェロ・リパブリカ、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」などに出演。桐朋学園大学音楽学部チェロアンサンブル・サイトウ奨学生。公益財団法人江副記念リクルート財団第45・48回奨学生。公益財団法人ローム ミュージック ファンデーション奨学生。これまでにチェロを河地正美、常光聡、倉田澄子の各氏に師事。桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)を首席卒業。特待生として桐朋学園大学音楽学部ソリスト・ディプロマ・コース修了。現在、ハンガリー国立リスト・フェレンツ音楽大学にてミクローシュ・ペレーニ氏のもとで研鑽を積んでいる。シャネル・ピグマリオン・デイズ2020参加アーティスト。